ご報告
開拓ふくろふ乃湯は、6月に入ってから保健所に温泉利用の休止届を提出しました。これは温泉の利用許可を受けたものは6ヶ月以上連続して営業を休んではいけない、というルールに則ったものです。
そして、これにより正式に無期限休業となりましたことをお知らせいたします。開拓ふくろふ乃湯を引き継いでから6シーズンの間、本当に多くの方々がこの温泉を愛してくださったこと、たくさんの方々と「施設とお客」という以上の関係性でお世話になりましたことを心より感謝しますとともに、営業を続けるという選択肢を取ることができなかったことをお詫びいたします。
...これまでも時折オープンにしてきましたが、もともと日帰り温浴施設というのは薄利多売が必要で、しかも事業として成り立たせるには非常に難しい部類に入ります。また私の場合は月に350時間ほどを費やす必要がありましたが、長時間体力と精神力を削られ続けるため、ボランティア精神が必要な種類のものです。
ふくろふ乃湯のシステムは特に利益率が低いため、6シーズンも営業できたことは奇跡でした。それもシーズン前後にボランティアで修繕や清掃作業などをお手伝いくださったり、差し入れ等々のお心遣いをいただいた多くの皆さまのおかげです。ふくろふ乃湯の一番の自慢はその佇まいやお湯ではなく、質の高いお客さまでした。本当にありがとうございました。
皆さまからのコメントなどを読ませていただき、営業をしないという決定が正しいのか、正直なところ今は分かりません。
ただ、もともと仕事として成り立たせるのが大変なところにコロナ禍の影響があるため、やはり続けることは困難だったと考えています。
やらない理由を挙げてしまうときりがありませんが、
・大幅に給湯システムを変更すれば続けられますが、それはかけ流しでお湯を提供しているという良さを完全になくすることと同義であり、これまでのお客様にとって不利益になること
・経営のために大幅に入浴料を変更する、または営業形態そのものを変えれば、お客様にとって不利益になること
・昨年までと全く同じ体制で営業しようとすれば、逆に昨年の1.2から1.5倍のお客さまを入れなければいけませんが、それが不可能なこと
・ふくろふ乃湯の施設規模では密にならない状況を作ったり、定期的な除菌作業ができずお客さまをお守りするのが難しいこと
・昨年まで使ってきた清掃・除菌のための消耗品が現時点でも全く手に入らず、同じレベルで管理できないこと
どうやってもお客様のためにならないという結論でした。
加えて、これから行政による旅行促進のための大規模な事業が展開されても、ふくろふ乃湯のような施設はその政策の隙間で対象外にあり、残念ながらサポートがないことも小さな理由です。
開拓ふくろふ乃湯はコロナ禍前から入場制限するなどして、お客様に可能な限り良いお湯を提供するための方法を探ってきました。その方法はアフターコロナの温浴施設でもっと活きるはずでしたが、こういう結果になってしまい残念でなりません。
今月の前半までに今期のサポーター会員にお申し込みの方への返金がある程度終わり、今後は状況が許す限り他のお客様へのサポートも行う予定です。それでもし未使用(6枚綴りのまま)の回数券をお持ちの方がおられましたら、お手数ですがご連絡先を添えてふくろふ乃湯まで郵送をお願いいたします。
ふくろふ乃湯のお客様は温泉に造詣が深い方が多く、そのような皆さまにお会いでき、お湯をお楽しみいただけたことが何より幸せでした。6シーズンの間、本当にありがとうございました。
また創業から10年程度、業界内では本当に小さな温泉施設でありながら、ふくろふ乃湯の休業を記事として大きく取り上げる価値のあるものとして報道してくださった各メディアの皆さまにも感謝申し上げます。
サービス業界にとって今後も厳しい時代になるかもしれませんが、あの時に無理をしてでもふくろふ乃湯の営業をすればよかったと思うような良い時代がこれから来ることを願っております。