2023.03.16
優駿と桜。日本中どこにもない圧巻の風景。
二十間道路とは道の幅が二十間(約36m)あることから、いつしかそう呼ばれるようになったもの。だが道幅以上に強い印象を残すのは、圧倒的な「まっすぐさ」だ。静内地区の市街の北東、坂道のあとのゆるいカーブを曲がった瞬間、息を呑むほどの壮大な桜並木が出迎えてくれる。その距離、直線で約7㎞。
直線道路には事欠かない北海道だが、緑なす牧場地が両側に広がり、その真ん中を日高山脈に向けて一直線に伸びる二十間道路のスケール感は別格だ。起点のエントランス広場から山側の龍雲閣まで、途中の起伏がほとんどないため、はるか彼方まで一気に見通せる。
その景観の素晴らしさは春に限らず夏・秋・冬と一年を通じて見飽きることがない。頭上に満天の星空が広がる、夜のドライブもおすすめだ。
そして二十間道路のもう一つの特徴は、馬産地の魅力をたっぷりと堪能できること。
写真に映っている楕円の形は、競走馬の育成に使われるトレーニングコース。日本最大の軽種馬産地・新ひだか町には、憧れの馬たちを一目見たいと全国からファンが訪れ、じゃれあう親子馬や颯爽とした若駒たちに目を輝かせる。そのど真ん中で、四季折々の自然と優駿の姿を楽しめるのが二十間道路なのだ。
「桜」と「馬」という、不思議な組み合わせを秘めた巨大な道が、なぜ忽然とこの土地に生まれたのか。
まずは100年咲き続ける桜の歴史から探ってみよう。