2023.02.01
「透明度」や昭和歌謡曲「霧の…」など、抜群の知名度を誇る『摩周湖』。道東の弟子屈町にあり、阿寒摩周国立公園内に位置する火山の噴火によってできた湖です。
湖内は車・舟はもちろんの事、人の出入りも厳しく規制されている特別保護区にあたります。地形の性質上、流れ込む川も流れ出る川も無く、人による汚染の影響が極めて少ないという特殊性から、毎年水質調査が実施されています。
過去の調査で、『摩周湖』は透明度41.6m(1931年)を記録し、当時の記録は未だ抜かれることなく現在も世界有数の透明度を誇ります。
1981年からは、国立研究開発法人 国立環境研究所により総合的な水質調査が実施され、1994年には、※GEMS/Waterの陸水監視システムのベースラインモニタリングステーションに日本の湖沼で唯一登録されています。
※GEMS/Water ・・・・国連環境計画(UNEP)や世界保健機関(WHO)等の国際機関によって進められている、淡水水質の監視プロジェクト、地球環境監視システムの陸水監視部門であり、 全球をカバーする唯一の淡水水質監視プロジェクト
水質調査について
水質調査では、専用機材を背負った調査員が『摩周湖』の湖岸へ降り、調査船に乗って、湖心へと向かいます。 調査ポイントに着いてから、湖面の深度毎の温度や採水による水質分析、透明度測定を行います(毎年8月~9月頃に実施)。
調査にかかる費用として、水質分析費用、調査船のメンテナンス費用、消耗品等で約150万円を要します。今は、『摩周湖』の伏流水の恩恵により地場産業が成り立っている周辺流域5町(清里町、別海町、中標津町、標茶町、弟子屈町)が負担金を出し合い、何とか実施していますが、今後資金不足に陥ると、調査の継続が困難となります。
調査を断念してしまうと、国際的な観測地点としての機能や、長年蓄積されたデータが失われるだけでなく、万が一『摩周湖』の水質に異常が生じた場合、将来的に美しい摩周ブルーが失われ、『摩周湖』を水源とする周辺地域への生活にも影響が出ることが危惧されます。