思わず「飲まさる」 甘い飲み口 村民にふるまうための酒
「どぶろく特区」をご存知だろうか。酒税法で定められた年間の醸造見込み量に満たなくても、自家産の米で仕込むなどの条件を満たせば特区内の農業者が酒造免許を取得できる特別区のことだ。長沼町に続き、道内では2番目のどぶろく特区となったのが新篠津村。
どぶろくに使用する米は、「ランタンの会」会長の北野亨さんが育てた「ななつぼし」。米の生産者であることもどぶろく作りに必要な条件の一つだ。現在は村内の道の駅、たっぷの湯のほか、北広島市・くるるの杜などでも販売されており、札幌のイベントで販売することもある。イベントがきっかけで村内に買い求めに来る人も増え、しばしば売り切れるほどにファンを獲得している。
ここで生産するどぶろくは年間2000ℓ、4000本。かかる手間や、現状の人手と設備を考えるとこれが限度だが、生産量を増やす予定はない。地元の祭りでふるまうことが一番の目的だからだ。しかし、「一定の味を作り出すのが難しい中で、それを追求する努力は尽くしていきたい」と話す北野さんの味へのこだわりは尽きることはない。
村民による村民のための酒。村を訪れた人は、その余剰にあずかるだけで、豊穣の喜びを分かち合う気分に浸れるのではないだろうか。