後世に伝える郷土の誇り、北海道米のルーツ・赤毛種
赤毛種とは、みんな大好き道産米の原点。ここ北広島市は、北海道の寒地稲作の発祥の地なのだ。きっかけを作ったのは農業指導者の中山久蔵翁(1828~1919年)。寒さに強い赤毛種の種もみを用い、暖水路を作るなどの努力を重ね、1873(明治6)年に現在の北広島市島松で米の収穫に成功。寒冷地である北海道での稲作発展に貢献し、米作りの歴史をスタートさせたのだ。その後、さまざまな品種改良が行われ、現在の北海道米ブランドが確立。それと共に赤毛種は生産されなくなっていった。成長が早く稲刈りの前に倒れてしまう可能性があったり、稲穂に長い毛があり機械での収穫ができなかったりと、栽培の困難さがその理由だという。
しかし1984(昭和59)年、100年の節目を期に栽培を復活。1992(平成4)年に水稲赤毛種保存会が設立され、希少な赤毛種の保存や教育を目的に、栽培を続けている。
現在、市内3戸の農家からなる保存会の会長を務めるのは住田昇さん。自身での栽培はもちろん、市内の子どもたちに田植えや稲刈りなど食農教育を通じて、赤毛種を伝承している。「赤毛種を作るには手間がかかるし、食用として販売するには収穫量が全く足りません。でも、作り続けることで歴史を守り、子どもたちに北海道米の原点・赤毛種の偉大さを伝えていきたい」と思いを語る。
近年では北広島商工会が中心となり「きたひろしま開拓プロジェクト委員会」を設立。市内店舗と協力のもと、赤毛種の米粉を使用した商品を作り、PR活動を行っている。赤毛種そのものを食する機会はなかなかなくとも、形を変えてなお繋がれる伝承の味をぜひ堪能してみてほしい。
姿を変えた赤毛米加工品
シフォンケーキ
ふんわりしあわせ運ぶ やさしい風味のシフォン
2012(平成24)年にオープンした同店では、昨年まで赤毛種を使ったパンを作っていたが、今年からシフォンケーキが新登場。試行錯誤の上完成したシフォンは、ふわふわ、なのにもっちりとした食感が楽しめる。味はプレーンと抹茶の2種がラインナップ。素材がシンプルなので、米粉や卵の美味しさがそのまま味わえると人気だ。
アン・ユイット |
住所 |
北広島市朝日町1丁目3-3 |
TEL |
011-373-7775 |
営業時間 |
9:30∼18:00 |
定休日 |
月曜、不定休 |
赤毛米きたひろクッキー
サクッホロッのほどける食感の虜に
添加物一切不使用のズシリと密度の濃いパンを求め、平日の朝でも行列を成す人気店では、赤毛種の米粉を使ったクッキーを販売。味はプレーン、コーヒー、レーズン、ごま、クルミ、チョコの6種にマカロンを加えた計7種。サクッとした歯ごたえながら、口の中でふわりとほどける不思議な食感はグルテンフリーの米粉ならでは。
自家製パン酵房 麦の香 |
住所 |
北広島市里見町5丁目5-13 |
TEL |
011-373-7880 |
営業時間 |
10:00∼なくなり次第終了 |
定休日 |
月曜、火曜 |
きたひろ まいピーロール
赤毛種米粉100% 職人技が光るご当地ロール
赤毛種の米粉のみを用いた「きたひろ まいピーロール」は、小麦粉を一切不使用のため生地が割れやすいそうで、絶妙なタイミングで焼き上がりを見極める、まさに職人ありきの逸品。しっとりとした独特の弾力が楽しめる。その他、メープルマドレーヌやサブレなど、5種類の赤毛種焼き菓子も販売。
お菓子の安寿真(あずま) |
住所 |
北広島市朝日町1丁目4-7 |
TEL |
011-372-0123 |
営業時間 |
9:00∼20:00 |
定休日 |
なし |
まいピーの赤
なかなか出会えない幻の赤い1本
赤毛種の米麹と、酒粕をブレンドした甘酒(清涼飲料水)。今年2月に開催された北広島ふれあい雪まつりで試験的に200本販売され、即完売したという注目商品だ。甘酒の風味を生かしつつ、赤毛をイメージさせるため紅麹で着色している。現在は市内イベントで不定期販売。見かけたらラッキー、逃さず購入を。
北広島商工会 |
住所 |
北広島市中央5丁目7-2 |
TEL |
011-373-3333 |