さっぽろ圏で有数の小麦産地である江別市。「きたほなみ」「春よ恋」「ゆめちから」など数ある品種のなかでも、江別市の名を全国区にしたのが「ハルユタカ」だ。
種をまく時期によって秋まきと春まきに分類される小麦のうち、春まきに当たるハルユタカ。世間で待ち望まれていた、パンに適した国産小麦として1985(昭和60)年に誕生したが、収穫量が不安定なことから、一時は「幻の小麦」と呼ばれた。1990年代に入ってから、根雪になる前に種をまく「初冬まき」を試験的に導入。農業改良普及センターなどの協力もあり、現在につながる栽培方法を確立させた。
小麦の栽培とともに、製粉も市内ででき、真の地産地消を実現できるのが江別市の強み。その重要な役割を担うのが江別製粉だ。同社は原料となる小麦の量が500㎏~1tと従来の十分の一ほどで製粉できるプラントを開発し、少量多品種生産を支えている。
そうして製粉された小麦は、江別市内の飲食店やパン屋、クラフトビール醸造所など至るところで「麦の里えべつ」をアピールしている。
江別麦の会 | |
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住所 | 江別市高砂町6 |
TEL | 011-381-1025 |
シフォンケーキ
地元素材の味わいと驚くべきこの食感
江別産の小麦を使用したパンやスイーツは江別市内のさまざまな店舗で目にすることができ、地産地消が根付いていると感じる。どの店も実力派ぞろいなのだが、市民に幅広く支持されているのがシフォンケーキ専門店のル・カルム。
江別産の小麦「きたほなみ」、江別市の佐藤養鶏の卵を使用し焼き上げたシフォンケーキ。この地元素材のおかげで、小麦の香りが豊かで、卵のクセを感じない味わいに仕上がっている。その食感も特筆もの。生地のキメが細かくしっとり、なのに重すぎずフワフワ、どちらも併せ持った絶妙なバランス。焼き方の工夫で、この食感を引き出しているという。
もともとこのシフォンケーキは、店主の保坂みゆきさんが自分の子どものために手作りしていたもの。それが知人、友人の間で評判を呼び、店を出すまでになった。商品として提供できるクォリティを求めた結果、江別産の素材に行き着いたが、「安心して食べられるものを」という基本は揺るがない。だから、保存料やベーキングパウダーなど余計なものは使わず、甘さも控えめ。子どもからお年寄りまで、だれもが幸せな笑顔になれる、そんなスイーツだ。
ル・カルム | |
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住所 | 江別市新栄台45-12 |
TEL | 011-385-7799 |
営業時間 | 10:30∼18:30 |
定休日 | 火曜、第2水曜 |
自家製江別小麦うどん
もちもち、つるつるを自慢の関西風お出汁で
江別産小麦を使ったうどんが評判のお店。和食店やホテルで修業を積んだ池田宏樹さんが「生まれ育ったここ江別で、地元の食材を活かした店を開きたい」と2006(平成18)年にオープンした。
麺は讃岐風、つゆは大阪風で、それぞれ池田さんが各地の銘店を食べ歩き、これはといったものを取り入れている。小麦は江別産の3種類をブレンド、「食感にはかなりこだわりました」と話すように、「もちもち、つるつる」が特徴だ。出汁は北海道産コンブをはじめ宗田かつお、いわし、いりこ、サバ節を使用、歯ごたえのある麺と濃厚な出汁が良く合う。
1日限定20食のランチ「つばき」1004円(税込)は、うどんと一緒に天ぷらやおかず4品がついたお得なメニューで、江別産の旬の野菜を使っている。
花あかり | |
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住所 | 江別市向ヶ丘14-3 |
TEL | 011-389-8030 |
営業時間 | 11:00∼14:30(ラストオーダー14:00) 17:00∼21:30(ラストオーダー21:00) |
定休日 | 月曜 |
江別小麦のホワイトあんかけやきそば
師匠は讃岐うどん。
江別の小麦「ハルユタカ」を江別製粉が粉に挽いてブレンドし、製麺会社の菊水が麺に加工、そして江別市内の飲食店で提供という、江別で完結した麺。讃岐うどんの製麺作業を再現した製麺機が、うどんのようなツルツル・もちもち食感と、中華麺のプツッとした歯切れのよさを併せ持っており、ラーメン、パスタ、焼きそばと八面六臂の万能選手。
マキシドルバ | |
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住所 | 江別市高砂町6(江別市民会館内) |
TEL | 011-383-5267 |
営業時間 | 11:00∼19:00 |
定休日 | なし |