「農業不毛の地」からの大逆転ブランド作物への変身物語
今年7月の初セリで5玉入り一箱に7万円もの高値がついたかぼちゃ「大浜みやこ」。これはいわゆるご祝儀相場だが、1玉の平均価格は1000円と、一般相場よりかなり高め。それでも「一度食べたらやめられない」と、熱心なファンが多い。
札幌市の北西部に位置する手稲山口地区はその多くが砂地で「農業不毛の地」と言われていた。その砂地を利用して作られたのが「サッポロ西瓜」。一時は200ヘクタールを超える作付面積を誇っていた。
ところが1980(昭和55)年、大雨と冷害がこの地一帯を襲い、スイカが大打撃を受けたのだ。生産農家は、気候に大きく左右されるスイカに代わる、寒さに強い作物づくりを追究した。同じように砂地で育てやすく、寒さに強い作物として種苗会社から取り寄せた種が「みやこかぼちゃ」。すぐ近くにある札幌市民の憩いの場「大浜海水浴場」にちなみ「大浜みやこ」と名付けられ、翌年の1981(昭和56)年7月にデビューした。甘くてホクホクした食感のかぼちゃは、たちまち評判となる。水はけの良い砂地と、寒暖の差が大きい気候が、おいしいかぼちゃを生み出したのだ。
土地や気候だけではない。生産者同士で決めた厳しい基準をクリアしたものだけを出荷する「共撰(きょうせん)」という方法で品質を落とさず、美味しいものだけを出荷している。不毛の地を生まれ変わらせた熱意は、今も続いているのだ。
JAさっぽろ(札幌市農業協同組合) | |
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住所 | 札幌市中央区北10条西24丁目1-10 |
TEL | 011-621-1346 |
※大浜みやこの販売は7月~9月下旬まで、市内スーパーやホクレンショップなどで販売
大浜みやこと木の実ナナ
大浜みやこがアイデアパンに大変身!
旬の野菜や果物を使ったパンが人気のお店。秋には大浜みやこを使用した商品が多数登場する。写真は、角切りの大浜みやことくるみやナッツなどの木の実を、クリーム入りデニッシュ生地にのせた一品。その他、シナモンがアクセントの「かぼちゃのあんぱん」や、秋の味覚がたくさんのった「彩り野菜のタルティーヌ」なども。
パン屋喫茶 大和 | |
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住所 | 札幌市手稲区手稲本町2条4丁目8-20 キテネビル1階 |
TEL | 011-624-7720 |
営業時間 | 10:00∼19:00 |
定休日 | 火曜、祝日不定休 |
大浜だんご
老舗和菓子屋が作る地域産物とのコラボ商品
1953(昭和28)年に米穀店として創業。昔は水車の水力を利用して米をついていたそうで、店名にその名残が。昔も今も、添加物・保存料を一切使わないことにこだわりを持ち、素材の味を生かした安心の美味しさを提供してくれる。大浜みやこを使用した商品は、南瓜餡がのった「大浜だんご」や、ふわふわでほんのり甘い「蒸しぱん」など。
水車 | |
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住所 | 札幌市手稲区手稲本町1条3丁目3-1 |
TEL | 011-681-2144 |
営業時間 | 10:00∼19:00 |
定休日 | 日曜 |