徒然に 135
キノフライデーシネマではたくさんの方たちがメリーさんに会いに来てくれました。ありがとうございました。
当時ご覧いただいた方も、初めてメリーさんに出会った方も、
そしてお問い合わせも多くいただいていましたので
「ヨコハマメリー」3月20日(土)アンコール上映が決まりました!
歌舞伎役者のように顔を白塗りして、貴族のような白いドレスに身を包み、小柄な老女が横浜の街角にたっていた。
名前も年齢も何も明かすことなく、戦後50年、娼婦としての生き方を貫いた人。
気品ある立ち居振る舞いは、いつしか横浜の街の風景の一部となって
「ハマのメリーさん」と呼ばれていました。
そんなメリーさんが1995年冬に忽然と姿を消した。
自分からはなにも語ろうとしなかったメリーさん、
しかし温かく見守り続けていた人たちがいた。
映画はそんなメリーさんにまつわる街の人々の物語でもあります。
その中のおひとり、病に冒され、余命いくばくもないシャンソン歌手の永戸元次郎さんにはある思いが募ってゆきました。
「もう一度会いたい。そして、彼女の前で歌いたい・・・」
そして奇跡が起きる。
思わず涙があふれてくるような衝撃。
まるで天使のようでした。
●この作品がデビュー作となった中村高寛監督
中学生のころ、町に映画を見に行くと、よくメリーさんを見かけた。
全身白塗りの老女で、とても近づける雰囲気ではなかったし、
強烈な畏怖を感じた記憶だけが今も残っている。
その後いつのまにか町からいなくなっていた。
「語ること、語り継ぐことに意味がある。語り継いでゆくことによって、余計なものがそぎ落とされ、本物だけが残る。
メリーさんの伝説も同じかもしれない。」ある人が言った、このフレーズが忘れられない。
そして、メリーさんの本物の部分、核心を追ってゆけば、私が育った横浜という町のメンタリティを描くことができるのではないか、作品になるのではないかと思い、勢いだけで作り始めた。
メリーさんの映画を撮ったというより
「メリーさん」を通した「ヨコハマ」の一時代と、そこに生きた人たちを、ただ一つの現象として撮っただけだと思っている。
しかし、その現象のなかにこそ、誰もが持つ普遍的な人の営み、感情、人生が如実に表れているのではないだろうか。
それはどんな社会的メッセージよりも、私が描きたかったことである。
●「ヨコハマメリー」3月20日(土)アンコール上映
上映時間は3月16日(火)決まります。