徒然に 304
「素晴らしかった・・今見ることで気持ちにはりがでます」とおっしゃって「この本、じっくり読んでみます」と安先生の本を買っていかれました。
映画を観たあと、ロビーで紹介している本を手にとる方たちがとても多く、嬉しい気持ちになります。
只今上映中の「心の傷を癒すということ」は、
阪神大震災で被災者の心の叫びに寄り添い、自らも被災しながら取り組み続けた精神科医・安克昌さんと家族の物語です。...
安先生の書かれた本「心の傷を癒すということ 大災害と心のケア」がきっかけで、NHKでドラマになり、そして映画が誕生しました。
人の心はいかに傷ついているのだろうか?
復興によって癒すことができるのだろうか?
そんな問いかけに
「これまでの日本社会は、人間の「力強さ」や「傷つかない心」を当然としてきた。
しかし今後、傷ついた人が心を癒やすことのできる社会を選ぶのか、
それとも切り捨てていく厳しい社会を選ぶのか?
やがて被災地は、復興へと向かってゆく。
しかし、「心の傷」を見てみないふりをして前進することではないだろう。多数派の論理で押しまくり、復興の波に乗れない「被災の当事者」であり続けている人たちを、忘れ去ることではないはずである。
「心の傷を癒す」ということは、精神医学や心理学に任せてすむことではない。それは社会のあり方として、今を生きる全員に問われていることなのである」と書かれていました。
「誰も、ひとりぼっちにさせへん」
もの物静かにお話される先生ですが、意志の強さはお父さんゆずりでもあったのでしょう。
妻の終子さんが夫が帰ってきたら「おかえり」って笑顔で迎えよう、そう思ったけれど、帰ってきた顔見たらそんな事忘れて笑顔になった、とおっしゃっていて。
その言葉だけで
とても大きなものを頂いたような気持ちになりました。
今の私たちが最も大事にしたい、
寄り添い続ける、そんな芯のある人生をと、思う2021年の始まりを
この作品で迎えられたことがとても嬉しいです。
映画のスタッフ全員が心にしたことは、安先生のご家族のために、
そして安先生のお子さん、末っ子はお父さんが亡くなられて、お父さんのことを何も知らない。
この作品がきっかけで監督助手としてスタッフの一員になったそうです。
スタッフの気持ちはこの子への贈りもの、そんな想いだったのでしょう。
心の傷は癒やされる のではなく 癒す のだ、
安先生の言葉。主語が大事ですね。