徒然に 301
少年が「詩人ってどんなしごと?」 そのような質問をする。すると詩人は
「悲しみを抱える人たちのために、かわりに泣くのが詩人だ」とこたえる。
詩人の妻は、ある日夫のあとをつけていったときのことを、青年に語り始める。
...「驚くほどのんびり歩いてた。
座って実を触ったり、匂いを嗅いだり、
見慣れているはずの街路樹を口をあけてながめてたり。
小学生の後ろを歩いて、話を盗み聞きしたり。
詩人の世界は違うんだな、そう思ったー」
切なくなるような妻の言葉だった。
詩人と妻、詩人と青年、それぞれに見つめる現実があり、虚構の世界があり。
手を伸ばせば触れることのできる距離にある。
笑顔と悲しみの涙は隣り合わせ。
「“守る“という感情がわたしには特別に感じられるのです。
誰かを守り、責任を取り、最後まで見守って、信じることが
人間関係においてどれだけ美しいことか―」とキム・ヤンヒ監督。
この作品が監督デビュー作です。
★ヤン・イクチュン演じる売れない詩人がはじめて知った恋?
男と女と男、ときめきと悲しみと、優しさが繊細に紡がれた
「詩人の恋」明日、1月29日までの上映です。