徒然に 292 (つづきです)
「アイヌ」は「人間」。「モシリ」は「大地」。
「カムイモシリ」と対をなす言葉「アイヌモシリ」、
神の世界に対する人間の世界。
少年カントを導いてゆくおとなを演じたデボさんは
「制御されたむきだし」と言いました。
「映画だからこそ実現できた。主人公の少年カントは映画の中で育って、子供のまま大人になった、純粋なまま」と。
そして監督は最後に「作る前も、作っているときもたくさんの
ものをいただいた。人として、監督としてというよりも、人間としていいものをいただいた」と。
北海道から生まれた映画を支えたのは監督と共にアメリカからやってきた撮影監督やスタッフの皆さん。
内緒だよとデボさんがみんなに教えてくれたのは
「耳と耳の間に魂は宿っている」というお話。
どこにいてもカムイいる。会いたくなったらカムイはそばにいる。そんな気持ちを信じさせてくれる映画との出会いでした。
私たちが暮らす大地は、こんな豊かな文化も持っているのですね。
★先日突然いらした主演の少年カントくんと絵美お母さん。
そしてご家族勢揃いで映画を観たあとはロビーでお客様たちと
和やかなおしゃべりが。
まるで親戚一同が集まったような、
「おおきくなったねぇ、いい映画だったよ」となんともアットホーム。この映画らしい気がしました。
最後にカントくんがパンフレットに寄せている言葉を。
「アイヌは身近だけれど普段考えたりすることはなかったんですが、出演してみて自分自身アイヌのことを考えるきっかけなりました。
自分がアイヌだからどうしなきゃいけないってことはないけど、
生活の中で関わってくる要素の一つで、今自分がやりたいことをどうアイヌの在り方と結びつけるのか考えるようになりました。
アイヌの言葉を喋ったり踊ったりしているだけがアイヌなのかなって思っていたけど
実際はそうじゃなくて、文化や伝統を大切にする価値観を持つ素敵な民族だと感じています。
言葉ではうまくいえないことを映像として伝えるのは意味のあることだと思いました。
アイヌ文化っていうより存在としてのアイヌをみてもらいたいです。」
★「アイヌモシリ」12月24日までの上映です。