徒然に 285
「笑いの裏に涙がある」と言ってきたけれど今回は、どんなつらい状況でも
「涙の裏に笑いがあった」。と語っているのはトレダノとナカシュ監督のおふたり。
『スペシャルズ!政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話』と長い作品タイトルのついた映画のこと。
『最強のふたり』で世界中を感動で包んだ監督お二人がまだ20歳の頃。
自閉症のケア施設でどんな子供たちも受け入れ、その世話を社会からドロップアウトした若者たちが支えている。その現場を見てすごく感動した監督は是非映画にしたいと思った。
けれどまだまだ無名の彼らには資金調達ができなかった。
だからいつか映画に・・そう思ってきて、
「20歳の頃立てた誓いの結晶」がこの作品。
実在の主要人物にヴァンサン・カッセルとレダ・カテブ、当代きっての名優で、コワモテです。
このふたりに監督は「作品に対するアイデアはあるけれど、脚本はない」
実際にその施設に行って2時間ほど体験してきてくれ、と提案。
二人はそれぞれにでかけて
「脚本はなくても大丈夫。このまま一緒に冒険を続けよう」と出演快諾の返事がかえってきた。
監督は「この作品を成功させるためには、この二人のエネルギーが必要だった」と後に明かしている。
そして映画には実際の自閉症の子供達や本物の介護者たちが多数出演している。
そのことによって実在の人物たちとフィクションが行ったり来たりして融合し、
とてつもないエネルギーが生まれている。
彼らの日常や、個人的な問題に寄り添いながら、より身近に様々なことが感じられる。
なんといっても彼らの1日は膨大で常に動き回っている。
無認可、赤字経営、閉鎖の危機にさらされても、
多くの問題を抱えてどこも引き受けてくれない子供たちを
「なんとかするよ」と言って連れて来る。
施設の中を駆け回り、ドンドンドンと音を弾かせ、大賑わい。
それでもスタッフたちは楽しそうだ、
子供たちもスタッフもトレードマークはひとりひとりの「笑顔」。
「完璧じゃなくてもいい。
子供たちは贈りものだ。
子供たちがいてくれるから
僕たちの居場所がある。」
そんな尊い瞬間を、子供たちのダンスシーンがおしえてくれる。
心洗われ、言葉にならない感情がこみ上げてくる。
こんなヴァンサン・カッセルを見たことがなかった、そんな感激もあるでしょう。
「二人の監督は、僕自身がいままで役者として自分が持っているとは知らなかったもの、うまく出せるかどうか分からなかったものを引き出してくれた。
この作品は自閉症についてではなく、
他人への愛、そして献身について描いた映画だ」とカッセル。
「みんな特別なんだ」。
とても元気をもらえますよ
★この映画の予告編では映画のタイトルを一気に言うので、皆さんクスクス笑いが耐えませんでした。
「スペシャルズ!政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの物語」 言えますか?(笑) ただいま上映中です。
※写真にもありますが「肩をかして」という男のコがとてもチャーミングです。ふっと安心する感じ、わかります。