徒然に 281-2
今から百年後 私の詩の葉を
心を込めて読む人 あなたは誰?
今から百年後に向けて
今朝 春の歓びに触れたこと...
あの花 鳥たちのあの歌を
あの深紅の輝きを
心からあなたに届けられるだろうか
今から百年後 それでも
あなたは南の扉を開き 窓辺に座り
彼方を見つめ 物思いにふけりながら
思い出そうとするのだ
百年前のとある日に
心浮き立つ竹笛の音が 天より鳴り響き
全ての真実を聴いたことを
あらゆる縛りから解き放たれ
喜びの声を上げた早春を
羽ばたく翼と花の粉を運ぶ南の風を
突風のようにあふれる若さでもって
世界に色を飾ったことを
そしてあなたの百年前
その日 心は歌で満ち 詩人は独り目覚めた
どれほど多くの言葉を花のように咲かせたがっていたことか
百年前のとある日に
今から百年後 あなたの家を訪れ
歌い聞かせる新しい詩人は誰か?
今朝の春の歓びを
挨拶のかわりにその詩人に贈ろう
私の春の歌が あなたの春の日に
一瞬でも 響きわたりますように
あなたの心の鼓動に 蜜蜂の羽音に
木の葉のざわめきのなかに
いまから 百年後に―
― ラビンドラナート・タゴール
今から100年以上の時を超えて届いたタゴールの詩。
新鮮な響きが私たちの鼓動を揺さぶリ、はるか100年という時間がつながってゆきます。
100年前、私はあなたの隣いた・・そんな錯覚をおこしてしまいそうです。
イギリス植民地時代の激動のインド史を生き抜いた詩人、非西欧圏で初めてノーベル賞を受賞し、ベンガルの人々ともに生き、今なお愛され続けている、
その魅力に迫るドキュメンタリーです。
監督は26歳の佐々木美佳さん。
タゴールの旅を通して出会った人々が紡ぐタゴールの詩。
本日上映後に監督のお話がございます。
どうぞお楽しみください。
★本日のキノフライデーシネマ
「タゴール・ソングス」19:25~
上映後佐々木美佳監督トーク