徒然に 265
映画を観たあとロビーでは監督とお客様が一人人一人お話している姿を見て、
映画館で良かったな、としみじみしてしまいました。
映画を通して人と人が出会う場所、映画館はそんな橋渡しをする「場」。
嬉しそうにお話しているお客さまと、聞き入っている監督の姿。
以前、監督が「映画の中にあるものが全てなのでので、それ以上のものは何も残っていなくて、本当は話すことは何もないんです」とおっしゃっていたけれど、
「こうして集まってくれた人たちを前にすると、自分の心のどこかに燃料を投下されたような気になります。
聞きたい、と思われる映画を次も作らなければなりませんね。
良い機会になりました」とお帰りになってから、お便りいただきました。
監督はトークで次回作に向けての気持ちも語っていて
こんなときだからこそ、よりハードルを上げて進もうとする、
きっと険しい道程だろうと思いますが、ここにいるみんなが見守っている、
そんな身近なつながりが感じられて
やはり生の現場はいいものです。
その他にも嬉しかったことがありました。
「許されざる者」のポスターがなくて、作品展示を作るのに、以前買ったパンフレットのスチールがとても気になっていたので、
スタッフとその写真を使ってポスター風に仕上げましょうと言うことになりました。急ピッチで仕上げたのですが、
それを見た監督がとても気に入って、
「この写真のシーンは映画にはなくて、渡辺謙さんがラストシーンを撮る直前の姿です。
カメラマンが撮ったもの。いい写真です」と満足そう。
映画をご覧いただくと、抜け殻のようになった一人の男の、なにものでもなくなった男の姿に、深い思いを感じます。
もう一つ、監督が最近ご覧になった映画でおすすめが
「はちどり」だったこと!
キノでは9月12日から公開です。楽しみにしてください。
★李相日監督の「許されざる者」は本日最終日です。