徒然に 258
「なんとも優しい気持ちになりました」「こんな遠くまでよく来てくださいましたねぇ、いい映画でした。菜の花さんが孫のようで・・」とお客さま。
こんな遠い所まで、というのは沖縄から北海道までやってきてくれた監督のこと。
「ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記」上映初日にあわせて
平良いずみ監督にお越しいただいて、映画の後にトークを行いました。...
東京公開の時は上映が始まった途端に緊急事態宣言で映画館が休館になってしまい、
北海道の上映がはじめてのようなもので、なんとしてもトップバッターの北海道へ行きたいと思って来てくれたのです。これから南下するように各地の映画館での上映があるそうです。そんな嬉しいお言葉に、
キノも6月1日~再開して、今回が初めてのゲストトークなんですよ、とお話しながら、
こうして映画の余韻にひたるお客様の顔を見ながら映画の話ができなんて、幸せなことだなぁ、と思いました。
こんなときだからこそ、人と人をつなぐ「共感力」をとても大事にしたいとおっしゃっていた監督。菜の花ちゃんに出会ってたくさん教えられたこともあると。
彼女が一番大事にしていることが「しゃべることより、聞くこと」、
それは監督自身、大切な課題で、「聞くこと」「調べること」、そして「考えること」。
原点を忘れてはいけないということを彼女が思い出させてくれたと感じたそうです。
故郷を離れ、遠い沖縄で高校生活を始めた15歳の少女、菜の花さん、
彼女が見て、聞いて、感じたこと、その発見が綴られて
「菜の花の沖縄日記」という本になり、
沖縄のおじい、おばあとの出会いと交流を通して
みずみずしい感性で沖縄と出会って成長してゆく姿が映画「ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記」になりました。
私たちは映画の中で菜の花さんと一緒に見て、聞いて、感じて,沖縄の心に触れてゆきます。
菜の花さんが綴った沖縄日記のはじまりを少しご紹介します。
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「私の名前は菜の花。芸名のようですが、これが本名です。菜の花は何度踏まれても起き上がる、というところからつけられました。
石川県珠洲市に住む両親の元を離れ、4月から那覇市の無認可学校「珊瑚舎スコーレ」に通っています。
私は沖縄に住む人をすごく魅力的に感じていて、この学校が自分にあっていると思ったので入学しました。
楽しいことがある反面、すぐ後ろにはいつも軍事基地があります。
たくさんの人が反対していていました。
沖縄のひとには嫌なニュースのほうが多いはずです。
なのに、高江で会ったおじいはよく冗談を言ってわらわせてくれます。
どうしてこんなに明るくいられるんだろう?
私にはそのことがすごく不思議です。今もなぜだかわかりません。
私の行く高校では、夜になるとおじい、おばあが学びに来ます。昼間の生徒は、その人たちのサポートをします。
この夜間中学校のおじい、おばあからたくさん話を聞きたいと思います。どんな出会いがあるかすごく楽しみです。
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沖縄の学校に行きたいと言った時、お父さんに「バイトしながら行け」と言われ、そのこと以外何も言わずに送り出してくたそうです。
娘を信頼しているのだなと思いました。
そんな菜の花さんが「おじい、なぜ明るいの?」その疑問とともに歩んだ沖縄の3年間だったのでしょう。
★「ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記」は7月24日まで延長が決まりました。
大人気「菜の花の沖縄日記」の本はキノロビーで発売中です。入荷するとあっという間に売り切れてしまい、只今入荷待ちになっています。
写真は平良いずみ監督です、とってもきさくで素敵な方でした。
「ちむぐりさ」とは、あなたが悲しいと、私も悲しいという意味です。
沖縄には悲しいという言葉はないのだそうです。
きっと、あなたがうれしいと私もうれしい、そんな気持ちの共感も含まれているのでは?